Dive to Shenzhen 〜深セン旅行① Introduction〜

2018年の目標のうち、達成できなかったことがひとつだけあった。
それが、深圳(深セン)に行くことだった。

元々のきっかけは、2017年12月のこの記事。

日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと」(藤田祥平/講談社「現代ビジネス」

■純粋な興味と、壮大な「大人」のマウンティング

この記事は公開当初から話題になり、FBで3400いいねを受け、はてぶ1300以上のブックマークが付いている(今日現在)。単純に深センの成長に感動した人、筆者と同様に日本の敗北を感じておっさんに物申したい人たちがたくさんいる一方で、「ちょっと行ったくらいでわかった気になるなよ、ケケケっ」的なマウンティングが目についた(ちなみにこのマウンティングは今回の旅でもものすごく感じるんだけど、それはひとまず置いておく)。

思うに、この記事に書いたことは、当時26歳だった筆者が感じたことすべてであり、筆者の胸の中では真実なわけです。なので、本件に限らずですが、「人がAと感じたものを、それはBだよ、バーカ。」という人を、私は好みません。真実はその人の感覚の中にしかないですし、「ムンクの叫び」を見て「怖っ!」って思うか、「かわいい!」と思うか、「なんか落ち着く」と思うかは、人に委ねられているわけです。

だから、「キミはこういう見方をしているけど、私はこう思うよ。」はありでも、「それ違う、こうだから。」は、自己と他人との境界線を把握できない人が成すことであって、あまり建設的な反応とは思えない。

■だからオマエはどう思ったのか。

この記事を2017年12月に読んだ私は、かなりこの記事に、というか筆者に共感しました。きっと深センはこんなふうに伸びているんだろうし、キラキラしている。日本が終わっているなんて、もうその頃から気づいていた。社会にあまり期待もしていない。なんなら東南アジアあたりに移住したい。そう思いはじめていた私には、ものすごく刺さった。
特に私が共感を持ったのは、テクノロジー的なものよりも下記の部分だった。

繰りかえすが、私はバブル崩壊の暗雲のなか生まれた。そうして26年が経ったが、はっきり言おう、人間がここまで希望を持って生きていいものだとは、想像だにしなかった。

日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと」(藤田祥平/講談社「現代ビジネス」)より

私は筆者より10歳近く年上だ。1982年生まれ。バブルというものは学生時代に崩壊し、「山一證券」という名前も、過去を振り返るニュースの中でしか知らない。そもそも小さな農村で生まれたので両親ですらバブルという恩恵を受けた気配はなかったし、当然ジュリアナもお立ち台も知らないし、とにかく「日本の景気はもうだめだから、我慢しろ。それが嫌なら賢くなれ、一人でも生きれるようにしろ」というメッセージを受けて社会人になった。
自分が良かったのは、いつにおいても「強かった」。身体的にはそうでもないのだけれど、とにかくこの腕と脚で這い上がり、頭をフル稼働させ、精神力を最大限に使い、バイタリティを持って生きてきた自信がある。だから、自分は常に希望を持って生きてきたし、今後もそうだと思う。

だけど、周囲を見ると、全然そうじゃなかった。就職氷河期真っ只中に社会に出た先輩たちは本当に疲れ切って、とりあえずで就職した先でなんの希望も見いだせない様子の人も多かった。同年代でも、社会に出ることに全く希望が持てないとか、人生に全然満足していないとか、そういう人が非常に多い。端的に言えば、「目が死んでいる人」が老若男女問わずにゴロゴロいるのが私の日本の印象だ。

もし、社会全体が「伸びる」という兆しがあったらどうだろう。

今日は明日より良くなる。
頑張ればもっと見返りがもらえる。
飛び出せば広い海が広がっている。

そういう「空気」が社会にあれば、人は前を向いて歩けるのではないかと思うし、だからそんな「空気」がありそうな深センを見たくなった。

そうして私は「深センに行くこと」を2018年の目標のひとつとして、実際に2018年10月に渡航予定を立てたのだが、スケジュール調整が上手く行かずにいきそびれ、2018年が終わってしまった。

■米中貿易摩擦の影響がこれ以上出る前に深センに行く

そうして年末年始にたまっていたビジネス誌や経済誌をいくつか読んでいると、「米中貿易摩擦」「交渉期限3月1日」という文字が出てきた。米中貿易摩擦については当然把握していたし、中華経済が落ち始めているというのも聞いてはいたけれど、具体的に「3月1日」という期限を意識したのはこのときだった。
予想では、「3月1日」という期限は延期されるだろうと思ったけれど、「いつかそのうち」と言ってよかったことなんて、たった一度もない。これは、「3月1日までに深センに行け」という啓示だと思った。そうして私は、3月1日までの間でスケジュールが唯一空いていた週末である2月上旬に深センに向かうことになる。まずはそんなイントロダクション。

補足:本日の日経速報「米中、3月にも首脳会談 関税上げ延期検討 」

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