InaHack 2018を終えて

すっかりハッカソン付いているエイミーです。9月の釧路に引き続き、10月は長野県伊那市で開催されたハッカソンに行きました。

ちなみに「ハッカソン」とは、主にIT技術者が制限時間内に缶詰になって、何かのテーマに向けてプロダクトを開発する取り組みです。ハック(hack=IT系 )とマラソン(marathon)を合わせた混成語。

自分はITに関心が高い非IT系ですが、そういう人でも参加できるハッカソンがあります。そういうときはプランナーとして、パワポ芸人として、プレゼン芸人として参加します。地域の課題に貢献し、課題に向き合い、素晴らしいエンジニアさんたちが作ったものを表現でサポートできればと思っています。

今回は、長野県伊那市で開催された「InaHack 2018 3rd Session “Hackathon”」に参加してきました。

▪️伊那市について
長野県伊那市は、長野県南部にある人口6万7千人くらいの都市です。地理の教科書でもおなじみの天竜川によってできた「伊那谷」という谷間にそって築かれた街で、天竜川以外にも街のいたるところに水路があります。
かんてんぱぱ」で有名な伊那食品工業がある他、精密機械や電子産業が盛んであり、オリンパスやケンウッドの工場もあります。また、奈良時代からそばづくりが行われた「信州そば発祥の地」とも言われていています。

▪️課題のインプット
今回の課題は、「防災・農業・福祉・観光」でした。
まず初日。ある程度セグメントされた中でくじ引きを行いチーム決定。午前中は自由参加で、エンジニアは今回使用予定の機材のハンズオンセミナー、私のようなプランナーは伊那市の課題を知るためのフィールドワーク。午後は全員参加で、座学による伊那市の課題のインプットと、バスに乗って観光地の見学を行いました。

個人的に、午前のインプットが印象的でした。伊那は、川によって栄えた街です。しかし、川が身近ということは、一度自然が猛威を振るえば、人など太刀打ちができなくなるということです。実際にインプットの内容は、川を中心に発展した街ならではの、細かい用水路、橋にむやみにかかる川、避難指定場所が洪水の危険エリアにある等々、川に関するものでした。信州の美しい街にこういう課題があるということは、ただ眺めるだけではわかりません。休日にわざわざこういう取り組みに参加する意義は、目で見て肌で感じリアルに自分ごと化することにあると思います。

■チームプレイ
夕方からはチームごとに集まって、それぞれのインプットを交換しあい、チームとして何を作るかディスカッション。ここが一番大変です。ここで方向を誤ると、翌日相当苦労します。各人、背景も関心事も違う、その日あった赤の他人同士ですから、作りたいものも異なります。みんなでわーっと意見を出し合って、出し尽くした後で如何に上手く集約していくか、ここがポイントです。ある程度の概要と各人の役割を決めたところで初日は終了。

2日目はひたすら作って、15時から各チーム10分のプレゼンテーションを行い、その日のうちに表彰式です。
ちなみに、今回の評価基準は下記の通りです。

・デモの完成度(発表時に動くものができているかどうか)
・実現性と実装性(実際に実現可能か、技術は既にあるか)
・デザイン性(洗練されたデザインか、訴求力があるか)
・事業性(ビジネスとしての可能性はあるか)
・テーマ性(テーマに沿った価値を提供できているかどうか)

■私の個人的な課題
話は少し脱線しますが、私には今回いくつかの課題とチャレンジがありました。ハッカソンはこれで3回目、アイディアソンも入れると4回目になりますが、比較的いつも、①課題の設定、②プレゼン資料作成、③実際のプレゼンテーションの3つでイニシアチブを取ることが多かった。キャラが目立って声が大きいと、こうなりがちですね(苦笑)特に②と③については、過去すべてそうでした。これは、個人プレイが好きな私からすると楽です。でも、他にもプランナーはいるわけですし、なんならみんなプランナーでもあるわけですし、自分の我を通すと自分以上のものに発展しないというのも、3回やると見えてくるわけです。

よって私は今回自分に「できるだけチームが円滑に回るようにディレクションに徹する」という課題を与えました。実際に、①について、私は明確にやりたいものがあった。そして、ディスカッションの場で自分の意見を通すのにも長けている。でも、冷静にチームメンバーの熱量の総和がどこに向かっているのかと実現性を重視し、自分の意見を推すのをやめました。これは当たり前のことかもしれませんが、私のような人間にはなかなか難しいことです。
②と③についても、今回のチームはプランナーが充実していたというのもあり、いつものように全て自分でやったら人を余らせてしまうわけです。それはもったいない。しかも、純粋に今回のチームは皆さんアクティブでバランスも良かった。みんなのチカラを上手く組み合わせたいと思った。
そこで、プレゼンの骨子は、チームで採用した課題の発案者と、壁打ち役になって具体化するプランナーにまかせて、自分は二人の言うことを絵に落とすことに集中しました。これは、当然ですが、やってみると非常に効率よく、余裕を持って資料を作ることができました。たかだか「我」を捨てるだけで、ここまで楽になるのかと感動したくらいです。

ただし、です。私はおそらく、かなり勝ちにこだわる人間です。自分が勝ちたいのは当然ですが、メンバーを勝たせたいという思いも強い。喋りについては、自分にそこそこ自信がある。メインのプランナーは、トークも行ける方です。なので、私の中の当初の予定では、トークは彼にお願いするつもりでした。ところが欲が出た。プレゼンは私の最大の武器だし、トークそのものは評価項目に入っていないとはいえ、「空気を作る」って大事です。人の心を掌握する、顔をこちらに向けさせる、耳を傾けさせる、それだけで、日差しが出たように景色が変わるものです。今回開発したもののコンセプトがマニアックということもあり、トークのつかみ部分は自分が立つべきだと思いました。

▪️自分たちの発表
自分たちの発表は、伊那の高遠というところにある石仏のPRでした。

ほら、字面で読むと「は?」って感じでしょ?(笑)いい意味で、すごくニッチなんですよ。他のチームが「水害のときの避難が云々」って壮大な課題と戦っている時に、すごくマニアックなところを付いてきたんです。いや、全然これでいいんです。オモシロイと思った。そして、やりようによってはいろんな形に展開できる開発ができました。これについては、詳細は書きません。どこまで書いていいかわからないというのと、なんか別のコンテストに誘われていまして、そっちで本当に発表することになったら手の内は隠しておくべきと思うので、サラリと紹介する程度にします。
とにかく、ニッチですけどユニークで汎用性があって、実際にデモも成功して、非常に良い発表になりました!

とはいえ、本流からは外れているし、おそらく入賞は難しいのではないかと個人的には思っていたのですが、なんとスポンサーであるソフトバンクさんから「特別賞」をいただきました。これは本当に嬉しかったです。参加者の評価も高かったようで、中には「このチームが優勝すると思った」と言ってくださった方もいたくらいです。純粋に、こういう声は嬉しいですね。

▪️まとめ
いつも思うのですが、座学もいいですけど、足を運び、手で触れて、肌で感じる。これに勝るものはありません。ハッカソンでも何でもいいのですが、普段の生活とは関係のない環境に自分を打ち込んで、短時間で脳がショートしそうなほど考えたり作業する、これ、ものすごく大事です。
実際に、その半月後に受けた本業のコンペは、いつもより楽だし良い提案ができたように感じました。脳が鍛えられたんだと思います。場数大事。
というわけで、ハッカソンでも、なんでもいいのですが、自分は今後も、そういう場に果敢に攻め込んで、何かを得て行こうと思います。世界の何処かであったときには、そんな私を、どうぞよろしくおねがいします。

最後に、運営のみなさん、伊那のみなさん、チームのみんな、本当にありがとうございました。

《最後に》
私が作りたかったもの、それは『おじいちゃん、行かないで』という、水害発生時に避難所に設置する、周囲の川の状況を光や色で知らせる仕組みでした。うちの実家も農家ですが、台風とか来ると、普段は行きもしないところまでパトロールに行っては、やれ川に流されたとか、土砂に埋もれたとかいって、地域の老人が亡くなる話を聞きます。川の多い伊那なら、水害が発生した時に、絶対にこんな感じで、せっかく避難したのに、周囲の反対を振り切って、わざわざ自宅や畑を見に行って亡くなる人が出る。そういう人は、口で注意しても「いや、まだ大丈夫」と思って出ていくわけです。でも、川の水位や路面状況をセンシングして、あからさまに真っ赤な警報とかをファンファン避難所で回せば、本人も思いとどまるかもしれないし、周囲ももっと本気で止められると思った。

そんな、私の一人ハッカソンでした。
いつか、私に技術力も付いたら、1人でこういうところに行くのもありかもしれませんね。
チームも好きですが、もともと個人プレイヤーですから(笑)

《追記》
ハッカソンの様子を長野日報さんが取材してくださって、我々のチームの様子が写真で採用されました!釧路のハッカソンに続き、1面デビュー!(笑)

地域課題の解決に期待 伊那ハッカソン

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コメント

  1. 伏見光二 より:

    とてもステキなブログですね!
    たくさんの「喜び」「楽しさ」を感じました。出会いの喜び、一緒に作り上げる楽しさ、形になる喜び、繋がる喜び、自分にも何かできると思える喜び、地域(故郷)への恩返しの喜び、他にもたくさん。
    また、それらを感じられる「ご縁」の大切さも。
    まだ、アイデアソン、ハッカソンには参加したことがありませんが、参加したくなりました(╹◡╹)

    • Eimy Ochiai. より:

      来年度も、ウフルさんがあちこちで開催しますよ。それ以外にも、ハッカソンって色んな所で行われているんです。ぜひ足を運んでみてください。きっとよい出会いがあると思います^^

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