本州最北端の地・佐井村への旅① ~この世ではない海・仏ヶ浦~

私は、幼いころから「北」が好きだった。
「暑い」より、断然「寒い」が好きな子供だった。

寒さは、自分と世界の境を意識させてくれる。
この私の感情も思想も私という乗り物に詰められただけにすぎず、肌の向こう側には私とは異質な世界が広がっている。
寒さはその境目である肌の存在を痛感させ、身を引き締め、自分の内側の熱量と、無限に広がる外の世界をはっきりさせてくれる。
だから私は、「寒い」が好きで、必然的に「北」が好きだ。

そんな私にとって本州の最北端は、いままで小学生の頃に家族で行った奥入瀬だった。
それが、今回本当日本刀の本州最北端まで行ってきた。

青森県、下北半島、佐井村。
マグロの一本釣りで有名な大間の並びにある村だ。

世帯数は1,006世帯。総人口  2,283人という(平成27.2.28 現在)。
東京から行くと、新幹線で八戸まで行って、そこから青い森鉄道で野辺地駅へ。野辺地駅からさらに大湊線で下北駅へと向かう。そこからはもうクルマしかない。約1時間半ほど走ると、佐井村に着く。

(個人的に、青い森鉄道のマスコットキャラがかわいくて劇萌えでした・笑)

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佐井村へ向かう中で驚いたのは、山道のあちこちにサルがいるということだ。
下北半島のニホンザルは「北限のニホンザル」と言われ、ヒトを除いた全世界の霊長類の中で、最も高緯度に生息しているサルだそうだ。天然記念物の指定も受けているらしい。

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そんなサルたちに歓喜していると、あっという間に最初の目的地、「仏ヶ浦」に着いた。

ここで、地元漁師の福田弘一さんと合流。年間20万人が訪れるという佐井村最大の観光名所を案内してもらいました。

駐車場から海までの山道を下ること15分。
この時点で、私はすでに「あ、来てよかった」と思っていました。

仏ヶ浦。
そこは、間違いなく私が今まで見た日本の観光名所の中で、一、二を争うくらいのインパクトを与えてくれた。

もう、そこは日本ではなかった。
「浄土」というものがあるのだとしたら、こういうものかと思った。
もし私が映画を撮ることがあって、死界へ続くシーンがあったら、迷わずここで撮影すると思う。
悲しくも寂しくもないけど、押し黙っていて荘厳で孤独な美しさがある。
そういう場所だった。

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写真ではわかりにくいけど、ここの石は緑色凝灰石と言って、うっすら緑がかっている。
それが腐食されて海に溶け出て、うすら青くなっている。

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浜辺にある石は石灰のように軽くてぼこぼこ穴が開いていて、いかにも海水に浸食されやすそうな様子だ。
そしてこの性質が、この浦の独特な造形美に貢献している。
まるでトルコのカッパドキアのような奇石が高くそびえていた。

一生モノの記憶を刻んでくれた仏ヶ浦。
何時間見ていても飽きない、何度も訪れたいと思った。

≪本州最北端の地・佐井村への旅①終わり。後編へ続く。≫

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